昨日、自宅(兼事務所)近くにある石水博物館を見学してきました。
石水博物館は、陶芸家の川喜田半泥子(かわきたはんでいし)が地域の文化事業を支援するために昭和5年に設立した「財団法人石水会館」を母体とし、平成23年5月に半泥子ゆかりの千歳山(津市半田)に新築開館した展示施設です。
現在は、石水博物館が所蔵している半泥子の作品や、伊勢の豪商だった川喜田家の当主が代々蒐集してきたコレクションを展示しています。
「とめはねっ!」にも出てくる高野切や、半泥子の陶芸品もすばらしかったのですが、
私の真の目的は博物館そのものです。
コンクリート打放しと、大きなガラスのカーテンウォールのシンプルで美しい建築です。
駐車場から奥のエントランスまでブリッジ状のアプローチになっています。
アプローチから駐車場方面を向いてカーテンウォールを撮影。
縦枠の間隔を少し狭くしたデザインが小気味よいです。
ちょうどエントランスの対面に、「千歳文庫」が見えます。
千歳文庫は、川喜田半泥子が同家所蔵品の収蔵のために昭和5年に建設した鉄筋コンクリート造4階建ての建物で、当時三重県では2例目となるエレベーターを備えていました。
平成18年に国の登録有形文化財に指定されており、平成21年に耐震補強工事が行われたようです。
現在も石水博物館の収蔵庫として使用しているため内部は非公開となっており、外観も石水博物館から眺めるのみで近くに行くことはできませんでした。
川喜田半泥子と言えば、「東の魯山人・西の半泥子」と称されるほどの陶工ですが、
陶芸はあくまで「趣味」であると生涯「素人」を貫き、自分の作品は一切売ることなく友人や知人にあげていたらしいです。
生涯に生み出した作品は3万点とも5万点とも言われ、今でもどこかの農家の倉庫や蔵に眠っているのかもしれません。